写真界の直木三十五賞 誕生

<第3章 メディア化する写真家と非文壇の形成>

---3 写真界の芥川賞直木賞創設―――写真を選考する文芸家

③―――写真界の直木賞土門拳賞創設(毎日新聞社

 

木村伊兵衛写真賞創設から遅れること7年、1981年、毎日新聞創刊110年記念年にあたったこの年、毎日新聞社は、土門拳賞を創設する。

現在、毎年3月、週刊誌『サンデー毎日』(毎日新聞出版)で受賞者が発表されており、主に中堅の写真家が対象となることから、“写真界の直木賞”と称される。

 

第1回は、「ケニア飢餓前線」(毎日新聞に発表)『アコロ』『国境を越えた子供たち』(ともに集英社)で、主にアフリカの貧困を撮らえた三留理男が受賞。

第2回は、『出羽三山と修験』(佼正出版社)で修験道の信仰を撮らえた内藤正敏が受賞。

第3回は、エジプト、エチオピアスーダンウガンダナイル川流域で生きる人々を撮らえた『バハル』(集英社)とサハラ砂漠を撮らえた『サハラ悠遠』(岩波書店)で野町和嘉が受賞。

第4回は、中国残留日本人孤児を撮らえた『シャオハイの満州』(集英社)、『毎日グラフ』で連載していた著名人の肖像写真「百肖像」(毎日グラフ)で、江成常夫が受賞となっている。

 

受賞作から、「第三世界、地方」といった土門拳賞のイメージが浮かび上がってくるかも知れない。

 

第4回受賞者の江成は、『アサヒカメラ』で連載していた、カリフォルニアで暮らす日本人の戦争花嫁を撮らえた『花嫁のアメリカ』(講談社)で、木村伊兵衛写真賞も受賞している(1981)。

直木賞芥川賞を同時に受賞している文芸家は現在のところいないが、写真界では、江成がそれを実現した。

『花嫁のアメリカ』と『シャオハイの満州』では、写真だけでなく、撮影者からの聞き書きも評価の対象となった。

 

 

*原典:

私家版『文芸メディア発展史~文芸家/写真家/編集者の追いかけっこ~』(2016年9月発行)

*主な参考資料:

土門拳記念館 公式サイト

土門拳賞 公式サイト

 

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筆者執筆参加。文芸家26名のポートレイトを収めた写真冊子『著者近影』(松蔭浩之撮影・デザイン/男木島図書館2016年4月発行)は、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店(渋谷)、タコシェ(中野)、NADiff a/p/a/r/t(恵比寿)の店頭などにて、現在手にとって頂けます。

収録文芸家:
青山七恵/池井戸潤/池澤夏樹/冲方丁/大野更紗/金原ひとみ/京極夏彦/窪美澄/沢木耕太郎/篠田節子/高橋源一郎/滝口悠生/谷川俊太郎/俵万智/辻村深月/堂場瞬一/早見和真/平野啓一郎/穂村弘/三浦しをん/道尾秀介/本谷有希子/森村誠一/山田詠美/吉田修一/吉本ばなな